増刊真木よう子

月刊 真木よう子 (SHINCHO MOOK 87)その昔 aikoオールナイトニッポンを担当していた頃、番組の見習い作家に「ぶるんぶるん君」という大変キャッチーなあだ名をもつ人がいたのですけど、そんなことをふと思い出したのが以前映画館で『ゆれる』を観ていたときで、もうこの先は言うほうも辛いんですけどつまり劇中、真木よう子さんのおっぱいがぶるんぶるんゆれていたわけですよ。脳内でぶるんぶるんという擬音をもって処理せざるをえないゆれかたで。ちなみにおっぱい代を差し引いても1,800円払える興味深い映画だったように記憶しますが、それはそうとそんな真木さんのインタビューが3月24日売りの週刊プレイボーイに掲載されていたので本日のテキストにしたいと思います。60ページ。

――
女のコっぽい人柄だったりして?
真木
どう思います?(いたずらっぽく笑いながら)
――
お部屋とか、かなり女のコっぽかったりして!
真木
いい線いってますね。でも、ぬいぐるみとかはありませんよ。ふつうに女のコの部屋だと思います。
――
カーテンはピンクとか?
真木
違いますね。
――
散らかってはいませんよね?
真木
散らかってます(笑)。本とか DVD とかが散乱してます。
――
男っぽいじゃないですか!
真木
ははは♪

インタビューのつかみの部分なんですけど、とりあえず女のコっぽさを少々引き出して主導権を握っていこうとする聞き手が結果何一つとして引き出せないという軽い事故が発生。開始わずか数秒で真木ゾーンが展開されていきます。

真木
オーディションといえば、面白いことがありました! 『ゆれる』という映画で監督(西川美和)にお会いすることになり、控え室で待ってたんです。そしたら、若くてかわいいコが入ってきて、私はてっきりオーディションのライバルだと思って「キッ!」ってニラんだんです。そしたらその人が監督だった(笑)
――
オーディションではライバルをニラむんですね?
真木
「なんだ、来やがった」と思って。そしたら監督だとわかって「やばっ!」って。

面白いことがありました! と話し出すデメリットについては明石家さんま恋のから騒ぎで10年以上にわたって口をすっぱくして説いていますが、真木さんが思っている面白さとは全然別の角度からこみ上げてくる「まじかっけー」という感情を抑えることができません。来やがったとか、もう完全なべらんめえ口調。

――
その大きな胸、本人的にはどうなんですか?
真木
「見たいんだったら見ればいいじゃない!」って感じです。そんなに気になります?
――
確かに、写真集とかで見ると全力で胸に目がいきます! でもドラマや映画で見ると、不思議と胸は気になりません。
真木
本当ですか? それはうれしいですね。演技中でも胸に目がいくもんだと思って、映画の撮影中に胸を「バァ〜ッ!」って強調させたことありますよ。「見るなら見ろ!」と(笑)。

胸の大きな女性が語りがちなコンプレックスとかそういうチャチな次元を完全に振り切って、全裸のまま教卓の上にのぼって腰に手を当てて紙パックの牛乳を飲み出しちゃうような斜め上の開き直りっぷり。ちたま割るくらいつおい。少しまじめに書くと、何をやっても胸しか見られないという女優として生きていくには潜在的な危うさを人一倍抱える彼女ですが、この境地にいるかぎり単純なセクシー系女優として世間に消費されつくされてしまう心配はまずなさそうです。

――
付き合ったら束縛するほう?
真木
うーん、昔はしたかも。でも、今は(忙しくて)束縛する時間がないから(笑)。
――
見張る時間がないもんね。
真木
だから遊んでもいいですよ。
――
浮気したら?
真木
殺しますよ。
――
やっぱり殺しますか。そんな気はしてた。遊んでもいいけど、バレた瞬間に殺されるんだね。
真木
そうですね。あらゆる手段を使って!

「殺しますよ」というフレーズは25歳女性の口から出る分にはかなり衝撃の強いフレーズだと思うんですけど、インタビューの後半ともなると聞き手が「やっぱり殺しますか」とさも当然のようにさらっと受け流しちゃってるあたりに真木さんの強烈な個性が垣間見えます。浮気相手の小腸引っ張り出すくらいの話なら「やっぱり引っ張りますか」ってなりそうなところがすごい。

真木
例えば、酔った勢いで"ひと晩限りの過ち"ってパターンなら全然いいかもしれませんけど。でも、たいていの男の人はやりますよね、浮気。
――
自分に原因がないとは思わない?
真木
思わないです。
――
断じて?
真木
はい。事前に足りないところはないかと考えて、いろんな"顔"というか、キャラクターを演じてみるんです。相手にも好みの女性像がありますからね。それで、自分に非がないことが確認できた場合、全力で潰しにかかります!

よくありがちな「浮気される→感情的に怒る」っていうパターンではなくて「浮気される→自分に非がないことを確認する→殺す」っていう、彼女なりに完璧に筋が通ってるあたり、なんつーかこれはもう畏怖に近い。真木こええ。これに尽きます。とはいえ「彼の好みに合わせる」といういじらしい一面もきっちりチラつかせており、マーケティング戦略にしてはできすぎているので、もうこれは彼女の素の魅力であると受け止めて、明日からのテレビライフを楽しんでいくのが正解なんだと思った。さしあたっては「週刊真木よう子」ですかね。

ゆれる

ゆれる