テレビ朝日×大塚愛

一部で高い人気を誇るテレビ朝日の深夜バラエティ群は、その企画の秀逸さと視聴率からしばらく後に堂々とゴールデンに進出することが多いのですけども(そして一部の人気は失うもののもっと大きな大衆に受け入れられるという構図)、ここ最近の傾向は「あざとさと紙一重」と一言でまとめることができます。すなわち「料理が下手なテイ」の女子を、「貧乏なテイ」の女子を、「早口言葉がうまく言えないテイ」の女子を、「標準語が喋れないテイ」の女子を上手に演出することで(主に)男子の大きな支持を獲得するというやり方です。リベラルな風潮の強い同局にしては女子のイメージを一段おとしてまでギャップ(いわゆる萌え)を発生させる戦略を取るのは一見意外ですけども、その実踊らされているのは男子だったりするのでそれはそれで丸く収まっているのかもしれません。ともかくテレ朝のバラエティに出演する女子はどこか足りてない部分をあざとさギリギリまで強調され、例えば壮絶な青森訛りの新山千春が一躍次の日学校での話題を全部かっさらうほどのストップ高になったりしている。
もちろん「あれは狙っているに違いない」という鋭い意見が(主に)女子の側から提出されることも少なくないのでしょうけど、それをかき消して余りある熱狂を作り出してしまうのがテレ朝のバラエティ力と言って過言ではなく、今夜も堀越のりは食材への愛情をを完全に無視したありえない料理を完成させてスタンディングオベーションを浴びるわけです。
大塚愛のバックで BGM に合わせて腰を振りまくるサンタの格好をした黒人男性長い前置きでしたけど、あざとさと紙一重の魅力で大活躍している歌手、「一人テレ朝深夜バラエティ」こと大塚愛がそんなテレ朝深夜バラエティとタッグを組んだ時に果たしてどんな映像を地上波に乗せることになるのか、8時台のMステでちんちんと言い放つことすらいとわない彼女は果たして……! という妙な実況(元NHK河西三省さん風)が僕の脳裏をかすめたのはつい先日の「オンタマ未公開SP」が始まった瞬間だったのですけども、果たして眼前に繰り広げられた光景は大塚愛のバックでサンタの格好をした黒人男性が BGM に合わせて腰を振りまくるという想像の斜め上をいくシロモノだったのでもう参りましたって感じです。今年の冬も(明石家さんまのみならずキムさんまでもが男の夢と認めた)ちょっと長めの袖を着こなしまくっていることといい今の人気はまだまだ一部、さらなるステップアップの可能性を十分に秘めているのがあなおそろしや大塚愛なのだと思った。