教科書に載らないテレビの歴史 〜2〜 (その1)

ザ・ベスト・オブ・東京プリンかつて『さんま・玉緒のあんたの夢をかなえたろか SP』で「プリン風呂に入りたい」という無邪気な男の子の願いを実現させるべく、数メートル四方の巨大な容れ物になみなみとプリンが注がれたことがありました。果たしてその子供は裸になって人肌色をした風呂の前に直立したまま動かなくなってしまい、「みなさんの努力の結晶を僕一人で汚すわけにはいかない」と町中の人に一口ずつのプリンを配る決意を固めるに至ります。
これはテレビ史に残る美談の一つとして今も語り継がれているのですが、では彼がもし、もしも大好きなプリンの海へ嬉々として飛び込んでいたら……? この歴史の if を解く鍵は作家・室井佑月にありました。
ご自身のブログで語られているように、彼女は豆腐嫌いで有名です。ではなぜ嫌いになってしまったのか? そこまで考えを巡らせることが今回のポイントでした。彼女は今日の『とくダネ!』でこんな発言をしています。

あたし豆腐嫌い! 豆腐の樽に落ちたことがあるから!

豆腐屋の四季―ある青春の記録 (講談社文庫)これで全てが繋がりました。豆腐の樽は地域差こそあるものの、大抵が子供であれば転落すると楽々収まってしまうような大きさで、言わば「お風呂大」と表現してなんら問題ありません。さあ、結論です。

  • XXX の風呂に落ちる ⇒ XXX が嫌いになる

が証明されましたから、「もしあの子供がプリンの風呂に入っていたら、プリンへの強烈なトラウマを背負ったまま残りの人生を歩まねばならなくなっていた」ことは自明です。当時の彼はもちろんそんなことは思いもよらなかったでしょう。ただ他人への思い遣りが人一倍できる子だっただけです。けれども、その優しさは巡り巡って自分に返ってくることになったのですね。